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電荷量保存の法則導出

president

[経歴]①国立大学工学部電気電子コースを早期卒業→②電験2種合格→③東京工業大学大学院工学院電気電子コースに進学→④電験1種と一陸技の取得を目指す

電荷量保存の法則は、マクスウェル方程式の体系を表すだけではなく、電気回路や化学反応式の基本定理として幅広く用いられています。この式を導出する目的としては、

  • 電磁気学の理解に役立てる
  • 電気回路や物性などの応用分野における理解に役立てる
  • 学問の体系的な理解を促進する

といった狙いがありますので、最後まで見ていたければ幸いです。

電荷量保存の法則導出

電荷量保存の法則とは

電荷量保存の法則とは以下の式であらわされます。

$$\nabla \cdots \overrightarrow{j}+\frac{\partial \rho}{\partial t}=0$$

この式をイメージ図であらわすとこんな感じです。

電荷量保存の法則

それでは、電荷量保存の法則を導出していきましょう。

電荷量保存の法則ー積分形の導出ー

まずは、体積が\(V [m^{-3}]\)で表面積が\(S [m^{-2}]\)の閉曲面を考えます。

そして、その閉曲面から出ていく電流を数えます。図であらわすとこんな感じです。

ここで、単位ベクトル\(\overrightarrow{n}\)を面の外向きに取ると、ある微小平面を通過する電流\(\delta I\)は、

$$\delta I=\overrightarrow{j} \cdot \overrightarrow{n} \delta S$$

と書けます。よって、閉曲面から出ていく電流\(I\)は面積分すれば出てきます。

$$I=\int dI = \oint_S \overrightarrow{j} \cdot \overrightarrow{n} dS \tag{1}$$

次は、内部の電荷量\(Q_{in} [C]\)の変化から閉曲面から出ていく電流を計算します。

下の図をご覧ください。

左)電流が出ていく前、(右)電流が出た後

微小時間\(dt\)だけ進んだときに増える電荷量を\(d\(\dQ_{in})\)としたとき、出ていく電荷量は、出ていく前の電荷量から出ていった後の電荷量を引けばいいので、

$$Q_{in}-(Q_{in}+dQ_{in})=-dQ_{in}$$

となります。よって、出ていく電流\(I\)は出ていく電荷量を時間で微分すればいいので、

$$I=-\frac{dQ_{in}}{dt}\tag{2}$$

となります。

電荷は何もない所から湧き出さないので、式(1)、式(2)は一致します。よって、

$$\oint_S \overrightarrow{j} \cdot \overrightarrow{n} dS=-\frac{dQ_{in}}{dt}\tag{3}$$

が成立します。

ここで、電荷量\(Q_{in}\)について更に深堀して考えましょう。\(Q_{in}\)閉曲面内部にある電荷の合計です。

微小内部電荷量\(\delta Q_{in}\)は、電荷密度\(\rho [C/m^3]\)と微小体積\(\delta V [m^3]\)を用いて表すと、

$$\delta Q_{in}=\rho \delta V$$

となります。よって、内部電荷量\(Q_{in}\)は体積積分を使って積分すると、

$$Q_{in}=\int dQ=\int_V \rho dV\tag{4}$$

と書けます。これを先ほどの結果に代入しましょう。

式(3)に式(4)を代入すると、

$$\oint_S \overrightarrow{j} \cdot \overrightarrow{n} dS=-\frac{d}{dt}\int_V \rho dV$$

閉曲面の体積\(V\)は時間によらず一定とすれば、微分と積分の順序を交換でき、

$$\oint_S \overrightarrow{j} \cdot \overrightarrow{n} dS=-\int_V \frac{d \rho}{dt} dV \tag{5}$$

となります。

これで、電荷量保存の法則の積分形が求まりましたので、次微分形を求めていきます。

電荷量保存の法則ー微分形の導出ー

ここからは、ベクトル解析学の知識を使うので積分形と分けて書きます。

式(5)の左辺にガウスの発散定理を用いると、

$$(左辺)=\oint_S \overrightarrow{j} \cdots \overrightarrow{n} dS=\int_V \nabla \cdot \overrightarrow{j} dV$$

よって、式(5)は

$$\int_V \nabla \cdot \overrightarrow{j} dV=-\int_V \frac{d \rho}{dt} dV$$

$$\int_V {\nabla \cdot \overrightarrow{j}+ \frac{d \rho}{dt} }dV=0$$

ここで、式(5)は任意の\(V\)で成立するので、積分を外すことができます。

$$\nabla \cdot \overrightarrow{j} +\frac{d \rho}{dt}=0\tag{6}$$

よって、

電荷量保存の法則の微分形が導出されました。

電荷量保存の法則の応用

電荷量保存の法則の応用についてあげておきます。

電荷量保存の法則は、

  • 電気回路の基本定理(時間前と時間後で電荷量は一定)
  • 化学反応式の基本定理(化学変化の前後で電荷量は一定)
  • 半導体物性の基本定理

ちなみに、半導体で用いられる保存則は、電荷量保存ではなく粒子数に関する連続の式です。

式で示すと、

$$\frac{1}{e}\nabla \cdot \overrightarrow{j} +\frac{d n}{dt}=G$$

となります。\(e\)は電気素量、\(n\)は電子密度、\(G\)は生成キャリア密度

粒子数の連続の式は、外部エネルギーによる正孔と電子の対生成が起こることで、\(G\)が生成されます。これを使って、ダイオードやnpnトランジスタの理論の解析を行っていきますが、この記事ではこの辺で終わりにしたいと思います。

最後までご覧いただきありがとうございます。

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