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マクスウェル方程式は2つで十分?!

president

[経歴]①国立大学工学部電気電子コースを早期卒業→②電験2種合格→③東京工業大学大学院工学院電気電子コースに進学→④電験1種と一陸技の取得を目指す

電磁気学の集大成であるマクスウェル方程式。

多くの記事では、マクスウェル方程式の意味について述べていますが、マクスウェル方程式の体系はたった2つの方程式で担えるという事実に言及された記事がないので、詳しく解説をしていきます。

4つのマクスウェル方程式

マクスウェル方程式は、4つの基本式と2つの補助式から構成されます。SI単位系で記述すると、

基本式

\(\overrightarrow{B} [Wb/m^2]\)は磁束密度、\(\overrightarrow{D} [C/m^2]\)は電束密度、\(\overrightarrow{H} [A/m]\)は磁界(磁場)、\(\overrightarrow{E} [V/m]\)は電界(電場)、\(\overrightarrow{j} [A/m^2]\)は電流密度、\(\rho\)は電荷密度です。

\(\nabla [m^{-1}]\)はナブラと呼ばれる微分演算子です。

補助式は、

補助式

ちなみに、私は電気系の人間なので、電界、磁界と言います。物理系の人間は電場、磁場をよく使います。

以上がマクスウェル方程式として知られていますが、

電気量保存則

この電気量保存則も加えた方が分かりやすいと思うので、私はマクスウェル方程式の5つ目の式として覚えています。

マクスウェル方程式の意味に関する記事は下記の記事をお読みください。

さて、この4つまたは5つの方程式の中でいらないものはどれでしょう?

ベクトル解析学でマクスウェル方程式を導出できるか?

次に、ベクトル解析学を使って式を変形をしていきましょう。ベクトル解析学の公式には、

$$\nabla \times (\nabla \phi)=\overrightarrow{0}\tag{1}$$

$$\nabla \cdot (\nabla \times \overrightarrow{A})=0\tag{2}$$

という公式がありますが、この記事では式(2)の結果のみを使います。式(1)、式(2)の証明は別の記事で行いますので割愛させていただきます。

ファラデーの電磁誘導の法則から磁束密度のガウスの法則を導出

まずは、ファラデーの電磁誘導の法則から考えていきましょう。

$$\nabla \times \overrightarrow{E}=-\frac{\partial \overrightarrow{B}}{\partial t}\tag{1}$$

式(1)の両辺に発散を取ると、式(2)より

$$\nabla \cdot (\nabla \times \overrightarrow{E})=-\nabla \cdot \frac{\partial \overrightarrow{B}}{\partial t}=0$$

になります。

そうすると、

$$\nabla \cdot \frac{\partial \overrightarrow{B}}{\partial t}=0$$

$$\frac{\partial}{\partial t} (\nabla \cdot \overrightarrow{B})=0$$

が得られます。そうして、与式の積分定数を0とおいて積分すると、

$$\nabla \cdot \overrightarrow{B}=0\tag{2}$$

が成立します。なぜ、積分定数を0とおけるかについては物理的考察が必要だと思いますが、

一応、ファラデーの電磁誘導の法則から磁束密度に関するガウスの法則を導出できました。

アンペール・マクスウェルの法則から磁束密度のガウスの法則を導出

次に、アンペール・マクスウェルの法則について考えていきます。

$$\nabla \times \overrightarrow{H}=\overrightarrow{j}+\frac{\partial \overrightarrow{D}}{\partial t}\tag{3}$$

先ほどと同様に、式(3)の両辺に発散を取ると、ベクトル解析の公式(式(2))を用いると、

$$\nabla \cdot (\nabla \times\overrightarrow{H}=\nabla \cdot (\overrightarrow{j}+\frac{\partial \overrightarrow{D}}{\partial t})=0\tag{3}$$

すなわち、次式が成立します。

$$\nabla \cdot (\overrightarrow{j}+\frac{\partial \overrightarrow{D}}{\partial t})=0$$

\(\nabla\)と\(\frac{\partial}{\partial t}\)を交換すると、

$$\nabla \cdot \overrightarrow{j} + \frac{\partial }{\partial t}(\nabla \cdot \overrightarrow{D})=0$$

となります、ここで、次式で表される電荷量保存の理について再渇します。

$$\nabla \cdot \overrightarrow{j} =-\frac{\partial \rho}{\partial t}$$

電荷量保存則の導出については、下記の記事を参考にしてください。

そうして、電荷量保存則を先ほどの式に入れると、

$$\frac{\partial }{\partial t}(-\rho+\nabla \cdot \overrightarrow{D})=0$$

となり、両辺の積分定数を0とおいて積分すると、

$$-\rho+\nabla \cdot \overrightarrow{D}=0$$

すなわち、

$$\nabla \cdot \overrightarrow{D}=\rho$$

となります。先ほど同様、積分定数を0とおく式変形には数学的あるいは物理的考察が必要ですが、

アンペール・マクスウェルの法則(+電荷量保存則)を用いて、電束密度に関するガウスの法則を導出することができました。

結論

ベクトル解析学の知識を身に着ければ、マクスウェル方程式は、4つとも覚える必要はなくなります。

覚えておくべき公式は、下記に示すアンペール・マクスウェルの法則、ファラデーの電磁誘導の法則、電荷量保存の法則の3つです。

$$\nabla \times \overrightarrow{H}=\overrightarrow{j}+\frac{\partial \overrightarrow{D}}{\partial t}$$

$$\nabla \times \overrightarrow{E}=-\frac{\partial \overrightarrow{B}}{\partial t}$$

$$\nabla \cdot \overrightarrow{j} =-\frac{\partial \rho}{\partial t}$$

これでも覚えるのは大変だとは思いますが、これらの導出過程を知っておくと、もっと覚える量が少なくなります。

ちなみに、私はマクスウェル方程式は全部覚えています。

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[経歴]①国立大学工学部電気電子コースを早期卒業→②電験2種合格→③東京工業大学大学院工学院電気電子コースに進学→④電験1種と一陸技の取得を目指す

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